[雑記] 自分がいいと思う本を10冊挙げろ!(後編)

前回の続きです。

 前回記事:自分がいいと思う本を10冊挙げろ
  http://cast-a-spell.at.webry.info/200802/article_21.html
 

彗星狩り




元祖ラノベ作家の、笹本祐一による宇宙ロマンSFの星のパイロットシリーズ第二巻。1999年度星雲賞受賞作品。
とにかく、熱い物語です。
星のパイロットシリーズは宇宙産業が興り、民間会社が競って宇宙へと仕事に出かけていく時代を舞台に、零細宇宙会社のスペース・プランニングの活躍を描いてるんです。
ラノベという事もあるのか、主人公は若い女の子の羽山美紀という女性で、脇を固める面々は個性派揃い。クールビューティな社長、退役軍人のガルベス、天才車いす少年・・・
そして、第二巻のお題ですが、地球の近くを横切る彗星に如何に早くたどり着けるか、というもの。彗星で事業を始めようとしていた会社がつぶれて、その権利が売りに出された。その権利を獲得するのは一番最初に彗星にたどり着いた者だった。そして、月に次ぐ地球第二の衛星として捕まえる事。
スケールからしてすごい、と思いますね。
もちろん主人公の会社は零細ですから、知恵をしぼらにゃなりません。いや、そもそも彗星を本気で捕まえる仕掛けからしてハードSFでして、表面にアルミを蒸着させて蒸発を防ぎつつ、方向を制御するなんてアイデアをまじめに考えています。
さらには、スペース・プランニングの面々は普段地球を回る宇宙船で仕事をしているわけですが、彗星を捕まえるためには惑星間飛行をしなくちゃならない。当然、地球の周りと惑星間の飛行では推力の桁が違う。宇宙船の作りからして違う。そのために、ひたすら準備を行う。新型ロケットまで持ち出してしまう。それが、プラズマエンジン。一方ライバル会社はムーンブラストエンジンやイオンジェットを繰り出してくる。
どれもこれも、理論は出ていても実績はないわけで(いや、イオンジェットはハヤブサに積まれていたから、実績があるか)、それを繰り出してくる。当然、理論に沿って利点と欠点を兼ね備え、それを克服するための工夫をうまく描写してくれる。
そういう本ですから、実際に宇宙船が飛び立つのは中編の途中からというありさま。そして、飛び立ったらほとんど孤立無援の状態。そりゃ宇宙空間ですからね。トラブルは続発するし、宇宙塵の雲は行く手にふさがるし、そして地球側で陰謀劇が開始される。
そんな中、実際に宇宙を旅するライバル三社はあくまでスポーツマンシップにのっとっているわけです。最悪の時はすべての権利を諦めて、ライバル社を助けようともしている。
そんな地球の陰謀に足を引っ張られつつ、同時にライバル社も含めて知恵を出し合い、人類未到の彗星に有人ロケットを送り込み、そして戻ってくるのです。

SFの玄人には色々あるんでしょうけれど、話の疾走感、ギミックのおもしろさ、最後まで飽きさせません。
そして何より、主人公たちに困難を排して前へ進むんだという熱がある。それが、この本を支えて居るんでしょう。

あ、後、星のパイロットシリーズの四巻目、「ブループラネット」もオススメです。
宇宙には限りない可能性がある、と思わせてくれます。

銀河英雄伝説



田中芳樹の処女作にして、最高傑作。
おじいさんに小説を読む楽しさを教えてくれた一冊です。
自由惑星同盟、銀河帝国の間では長年にわたって戦争が続いていた。そこに二人の天才が現れた。帝国には帝国の軍人ながら帝国を憎む若者ラインハルト、同盟にはうだつの上がらない青二才のヤン・ウェンリー。ラインハルトが野望を実行に移す時、帝国と同盟の歴史はまさに動き始めたのだった。
うん、うまく要約できませんね。
とにかく、民主主義対帝国主義の国家で、戦争劇の物語です。
こういう架空戦記でこれほどのスケールをもった物語はこれまでなかったと言ってよく、また戦闘の描写も(パクリという噂もありますが)おもしろい。登場人物は一癖ふた癖ある奴らばっかりです。
でも、なんでしょうね、小説版は民主主義の悲哀ってやつですか、それがおもしろい。
同盟側の元首は明らかに政争しか興味がなくて、ヤンは常に横から口をだされるわけです。しかし、それでもヤンは従うわけですよ。それが民主主義の軍隊だからと。
なんつーんですかね、議員に軍事知識がちゃんとないとアホな事になるという好例を書いている所もあって、日本の反面教師にできるわけですが。
やっぱり上手く魅力をかききれてませんね。とにかく読んでみてくださいよ。

姑獲鳥の夏



推理物から一冊、京極夏彦の姑獲鳥の夏を挙げておきます。
おじいさんはあまり推理物は読んでいなくて、古典だとシャーロック・ホームズとアガサ・クリスティぐらいですか。現代の推理ものは多少は読んでるんですけれど、あまり覚えてないです。
だから、数年前に同僚から借りて読んだんですけれど、これはすごい衝撃でした。
なんというんですかね、この本はリフトなしスキーのようです。前半はなんじゃこりゃというぐらい話が進まない。関口君と京極堂の認識についての会話は、ひたすら山を登っているだけ。苦行です。しかもそれが並の単行本一冊分ある。いやー、指輪物語の「ホビットとパイプの関係」で挫折する人も多いと思うんですけれど、姑獲鳥の夏も最初のコレで挫折する人も多いでしょうねえ。
しかし、その苦行を耐え抜いた人だけにすばらしい読書体験をさせてくれます。謎解きが始まった時頁を繰るのがもどかしい勢いで進んでいくんです。
推理小説の概念を少々変えたと言っても過言ではないでしょう。
とはいってもですね、あの結末というかトリックはねぇだろと思うわけで、個人的には京極堂シリーズの最高傑作は「鉄鼠の檻」ではないかと思っています。榎木津最高!

ちなみに、次点はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」です。レモン・チャンドラーなんかも考えましたが、あれはあまり性に合わなかったんですよね。


笑傲江湖



中国の武侠小説(日本で言う剣客小説)の大家、金庸の大傑作です。
令狐冲を主人公に、秘伝書「辟邪剣譜」を巡って、武術家たちが争うというものですね。
この小説は努めてジャンプ的なんですよ。
戦って戦って友情をはぐくんで、時にラブ。ついでに、こいつが裏切るのかー!という話です。
必殺技はポンポンでてきてかっこいい。ギャグもいい感じで織り込まれてる。すべてが高水準で兼ね備えている。
特に主人公の令狐冲はヘタレっぷりとかっこよさを兼ね備え、任盈盈とのツンデレぶりは見ていて楽しいですよ。
・・・ありゃ、手元に本がないので、もう少し詳しく紹介したいんですけれど、細かい所を覚えていないので、こんな所で。

流血女神伝



最後は須賀しのぶの、大河小説です。
おじいさんなのに、なぜコバルト文庫と言われそうですが、おもしろいからいいんですよ。じじいが、マリ見てを読んでいてもいいじゃないですか。
これまで、おじいさんはデルフィニア戦記とかも読んできたんですけれど、一番人間の業って奴ですか、それを書ききったのが、この流血女神伝シリーズではないかと思うんですよ。
しかも、それを少女レーベルのコバルトから出していて、少女の目を通して、神々の意思と人間たちがあらがう世界を描いていく。
いかん、話の内容を全然紹介してないですね。話は山奥深くに住むカリエという少女がルトヴィア帝国の皇子の身代わりとしてたてられる所から始まります。当然カリエは何もしらない娘なので、教育係のエドに徹底的にしごかれるわけですが、そこではじめてカリエは世界を知る。そして王宮にあがり、王位継承争いに巻き込まれるんです。
そこで終わっていれば、別に普通の小説だったんでしょうけれど、身代わり元の皇子が病気で死ぬとカリエは用済み。殺される所をエドと共に逃げ出すんです。そして安住の地を見つけようと旅をしていたら、奴隷→後宮の娘→敵国の王子様の小姓→海賊→王妃→神様の依り代→逃亡犯→修道女→海賊・・・少女小説で主人公が四人も子供を産みますか?フツーじゃないですよ。
それと本書の最大の特徴は、ファンタジーならではの神様たちの競演でしょう。
カリエはザカリア女神の娘として、これでもかと数多の試練を与えられる。そのザカリアはルトヴィア帝国の守護神によって封じられ、復活の日を少数の僕たちと時を待っている事になっております。それが物語を進むにつれてそれが一面的な伝承であった事が判明するわけです。伝える立場によって物語はゆがめられていくのだという事がわかるわけです。しかし、同時にそれは一面の真実でもある。矛盾があろうと、複雑であろうと、それが真実なのだという点でしょうか。
そういう点も折り重なり、カリエを始め主役級が神と世界と歴史と向き合って生きていく。そしてどれほど意思を持とうと、祈ろうと、滅びはやってくるわけです。その中でどう生きるか。何を新しい時代に残していくのか。立場を入れ替えつつ、物語は無常に進んでいく。
時代を生き抜くという事はこういう事なのか、と思ってしまうわけです。
二五巻という超長丁場ですが、一度手を取ってみてください。

おまけの一冊



数値計算系の主立ったアルゴリズムが掲載されている最強のアルゴリズム本の一冊(まあ、メルセンヌツイスタは入ってないと思いますが)
次点作品を挙げている所で、どうしてもこれだけは!と思っておまけにねじ込む事にしました(^-^;
だって、コンピュータ系の本が一冊もはいっていないのはおじいさんとしては悲しいですから。

この本は元々Fortranで書かれていたので、Cとしては少し邪道な感じがありますが、アルゴリズムについては実践コードと一緒に書かれているので非常にわかりやすい。
目的があって、アルゴリズムを検討する場合にこの本はもってこいです。
そして、何も目的がなくぱらぱらと眺めるのも楽しい。こういう事ができるのか、と思ってちょいちょいと試すことができます。将来の自分の糧になるでしょう。
おじいさんもそうやって、お勉強したのは昔の事ですねえ。

英語版は第二版が出ているそうなので、研究室とかそういう所では日本語版と英語版の両方、さらにはC++版をそろえておくべきですかね。
数値計算するならば、入門に買っておくべきですよ。

おわりに


挙げてみた一〇冊をざっと眺めてみると、おじいさんのオススメはなんだか歴史に偏っているようです。
それも、政治がからむ奴が多いですねえ。若干、読書の方向が偏ってるので、少し方向性を変えてみましょうかねえ。
でも、実用書は読んでも、何度も繰り返し読むってものではないですし。。。

一応、おわりに上に載せようかなと思っていた本の書名だけ挙げておきます。

 ・終戦のローレライ
 ・痛快!金融学
 ・菜の花の沖
 ・ふわふわの泉
 ・彩雲国物語(未完なのでどうかと)
 ・吉川英治三国志
 ・僕僕先生
 ・蒼穹の昴
 ・誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡
 ・空色勾玉
 ・君主論

うーむ、もう少し本を読んだらレビューをつけてかないと、おもしろい本を読んでるんだけれど、ぬけちゃうことが判明。
ま、それはさておき、ここに挙げた本はおじいさんは自信をもってオススメできますんで、読んでみてください。ただし、相性が合わない可能性はありますので、その点だけは自己責任で。

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