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zoom RSS [本] 新しい労働社会―雇用システムの再構築へ

<<   作成日時 : 2009/10/30 23:36   >>

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ブログ界隈では有名な、hamachan先生の本でございます。
普段から、RSSリーダーでヲチしているので、新刊が出ていた事は知っていたのですが、しばらく様子を見てみてから、このほど購入して、読んでみました。


序章 問題の根源はどこにあるのか
1章 働き過ぎの正社員にワークライフバランスを
2章 非正規労働者の本当の問題は何か?
3章 賃金と社会保障のベストミックス
4章 職場からの産業民主主義の再構築


読み終えての感想は、いきなりこう書いて申し訳ないのですが、おじいさんが欲しかったのは実は「労働法政策」の方だったのではないかと思ってしまいました(^-^;)「労働法政策」は学術書っぽいので、違うと思うのですが。
ワタクシEba!は、「おじいさん」と周りから呼ばれてるので、ブログではそう自称しておりますが、昨今の労働問題をツラツラと見ているだけでは歴史的経緯が全然わからないのですね。

そういう意味で、昨今の労働問題を俯瞰するにはこの本は非常に助けになったのですが、なんというか、「あー、この問題はこれがこうなって、こうこねくり回されたためなのか!」という迷走ぶりがわかって、腑に落ちるという展開がもう少し足りなかったのです。
それと、hamachan先生のブログではもっとニヤリ( ̄ー ̄)と笑えるおもしろさがあったのですが、こちらでは代って教科書的な丁寧さが全面に出ているような気がします。


さて、本書を読んで一番考えた事について、ざっと書いておきます。
それは、おじいさんは今の所「同一労働同一賃金」に懐疑的な立場だという事に気づいたという事です。

理由の第一ですが、同一労働同一賃金ではない→生活給があるという風に考えた時、これを破壊されると若干こまる、という私的なものです。
理想論として、同一労働同一賃金はある意味正しく、職能給というのがよいのではないか、とも思いますが、それに転換する狭間ではおそらく相当混乱が起きる。
そうなった時に困るね、という事です。
EUみたいに子育て支援などがちゃんと出ているならともかく、現状では民主党が始めようとしていますが、まだまだ制度的には未熟なわけです。
この状況で、生活給を削減されると困る。とはいっても、保証するのが国よりももっと脆弱な一企業という点。
昨今の不景気で、ガリガリ削られているわけで、今の状況はきつい。
かといって、民主党が拙速に制度を決めてしまうと、米内光政ではありませんが「じり貧避けてドカ貧にならぬよう」
と言いたくなるものです。

(余談ですが、こういう現実の法制度を変えるのは大変ですね。理想があるとしたら、現在→理想と一気に進めるわけにはいかない。現在→過渡期→理想と連続して変わっていかなければならない。
その辺の目配りというか、そういうのがない話をする評論家とか居るのですが、どうなんだ?と思うのですよ)

理由の第二は、おじいさんの身の回りというか、IT業界はどうなんだろう?という点なのですね。
IT業界――ここではプログラマや設計を担当するシステムエンジニアなどに話を絞るのですが、PG・SEなどは生産性に一〇倍、三〇倍の差があるなんて言われるのです。
根源的な原因は作業がルーチンワークではないためであり、いくら型にはめた所で必ず毎回試行錯誤しなければならない箇所がある。
その試行錯誤の所で、生産性に大きな差がついてしまう。
具体的には、品質もよくて、一〇倍の量のプログラムを書いてしまうわけです(おじいさんはそこまで上級じゃないです。普通レベルです)
それはどうなるんだ?という点なのです。
現在の所、一般的な大企業であれば、一〇倍の値段が払われるという事はないわけです。
プログラムを書いているという行為についてはまあ同一で、結果として同一らしい賃金なのですけれど、それって同一なのかな?というのが疑問にあり、そこから、そもそも同一労働というのは何を持って同一というのか、その同一とははかれる物なのか?という疑問がわいてくるわけです。

形だけ突き詰めても、労働の分野は意味がないので、現実的に考えると、同一と言ってももっと細かく分解して差をつけるのでしょう。
とはいえ、それを考えていると、職業別労働組合が仮に成立したとして、そこが一括して賃金交渉をする場合、レベル判定がすごく大変になりますねえ、と。
それ以上にドッグイヤーと呼ばれる業界なので、典型的な作業内容について賃金交渉が成立する頃には最先端ではよくわからない作業内容が生まれている気がします。
そういう時は例外として処理され、いずれそれが市場と法制で妥当な所に落ち着くのでしょうけれど、例外に挑戦するような領域で戦う人を見ているおじいさんとしては、結局どうなるんやろうか?と思う所です。


とはいえ、同一労働同一賃金について賛成しないわけではないのです。
転職がしやすくなる、というのは非常に魅力的です。
成功と失敗はもちろん本人にも責任がありますが、どの時代どの国で生まれたか、というのが非常に大きく影響する。
特に、昨今の不況で企業がバタバタと倒れて、首切りが横行している様を見ると、せめて就職ぐらいもう少し自由にならないのか、と思うのです。

また、賃金の透明性が高くなるかな、と多少期待をしてます。
それは市場との兼ね合いがあり、転職が増えれば、それなりの相場というのはできるでしょうが、市場といっても株式市場などではなく、職務と値段をみて労働者が応募するわけですから、非常にドロドロとした情報の非対称性のある市場になりそうな気がします。
そういう時、きっと賃金はゆがむんでしょうね。その時に職業別労働組合ががんばってくれれば、と。


というような事を考えながら、本を読んでおりました。

他にも色々と勉強になりましたが、疲れたので割愛(^-^;)
こんな所で。
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